多田野一人

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また会いましょう
3月の頭の卒業式…陽射しはあるけれど、まだまだ寒さが続く…
卒業式が終わって、校庭をぼんやり眺めていたら、同じクラスの女子に、声を掛けられた…式の間、泣いていた彼女の瞳は、赤く縁取られていた…ひとしきり、思い出話をして、これで、会えなくなるね…って話しをした時、彼女は、
また、此処で会いましょう
そう、小さな声で、呟いた…
あれから、地元の会社に就職して、彼女は、都会の大学に進学して…
まだ、携帯電話とか無かった時代、何の交流も無く、一度も会わず仕舞い…
何となく交わした、あの日の約束…忙しい日々に、飲み込まれ乍ら、心の片隅で、何となく燻っていた…
そして、来年の3月、約束したあの日が巡ってくる…遠く、淡い約束を、何となく期待し乍ら、一人暮らしの部屋で、あの日の彼女を不図、思い出している…

11/13/2024, 3:17:55 PM