【泣かないで】
教会で一人、とある少年が泣いていた。
「ああ神様、私は懺悔することもできない。この罪を背負ってどうして生きていけましょう」
少年はその教会の神父に恋をして、その罪に誰もいない時間、一人で祈りを捧げて泣いているのだった。
「あら、貴方、毎日ここで祈りを捧げてえらいわね」
シスターが入ってくる。少年は耐えきれなくなってシスターにすがりついた。
「シスター様、僕は、僕はどうすればいいのですか。」
堪えきれなくなった涙と言葉が溢れでた。
シスターは静かにそれを聞いていた。
少年の慟哭が教会内に響いた。
時間が経ち、少年が落ち着くとシスターは言った。
「私もね、神父様が好きなの。」
目を丸くする少年にシスターはいたずらに笑う。
「禁忌の道も、光のない道も、二人で行けば怖くないでしょう?迷える子羊よ。神様だって疲れたら眠るわ。」
だから泣かないで。誰も私達の罪は分からない。
その言葉に少年は救われた気がした。
次の日からシスターと少年の下らない小競り合いが始まった。少年は実に楽しそうで、もう泣かなかった。
何も知らない神父は二人の節操のなさに呆れ説教しながらも、陰では微笑ましげに笑っていた。
12/1/2024, 9:10:22 AM