ㅤたとえばあの角を曲がった先に。
ㅤたとえば電車を待つホームに。
ㅤたとえば道端のコンビニに。
ㅤ柔らかな髪の長身がふらりと立っている。
ㅤ私を見つけた唇が「びっくりした?」ってふわりと笑う。
ㅤ泣き笑いの顔になって私はあなたに駆け込む——
ㅤ聞こえてきたアラームに、のろのろと手を伸ばした。結局ほとんど眠れなかった。引きずられる毛布のような身体。
ㅤズキズキする目をこすり、リビングのカーテンを開けた。日差しも街路樹もくすんだまま。色を失くした世界の続きに、今朝も私は生まれてしまった。
ㅤ別れは終わりだなんて嘘だ。
ㅤあなたとはぐれてしまった世界で、私はあなたとまだ生きている。
『終わらない物語』
1/25/2025, 2:03:23 PM