海の底の夢を見る。
わたしは人間の形をしてなくて、きっと海中の魚か、泳いでいる爬虫類の形をしていて、水底から空を思い描いて、波の向こうを見ようと、差し込むこの光はなんなのか、どこからやってくるのか知りたくて、水面を見上げていた。
あの白く輝くものはなんだろう。気泡似た丸いかたち。あれを水を隔ててではなく、直に見てみたい。この短い手を伸ばせば、あの強烈な白が手に入るだろうか。
海が暗くなった時に垣間見える静かなひかりとも違う、あれ。しずかなしずかな眠りと産卵の時間には見えないもの。
それに焦がれていた。
どうにかして近づけないものか。いつしか見上げることをやめた。近づけばいいのだ。海を出ればいい。浅瀬へ移動する。足が砂に触れる。水の温度が上がる。肌に不愉快だ。それでもと途方もない夢、途方もない欲望が疼き、後押しする。海を出た。
陸にあがっても、それははるか頭上にあった。そのかわりにはじめて見る色を目にした。
海に戻れなくなった。遠くからみるそれは、海中にいる時と違う色をしていた。青い空と同じ青い色。
夢を見る。帰りたい、帰れなくなった海の底の夢。
1/20/2026, 4:22:39 PM