「君が隠した鍵」
おーい、ねえってば。
開けてよーー。
彼女は俺が鍵を持っていないときに限って玄関にロックをかけていることがあった。
俺が外から叫ぶと彼女はくすくす笑いながら開けにきてくれる。
これは2人の恒例行事になっており、その時間が愛しくてわざと鍵を忘れていくこともあった。
おーい、ねえってば。
開けてよーー。
誰もいない部屋に向かってぽつりと呟く。
俺はいつから彼女の心のドアも開けられなくなったのだろうか。
隠されたんじゃない。俺が、置いてしまったんだ。
ポストを開けると、からんと音を立てて鍵が落ちた。
拾うこともせず、俺は玄関の外で立ち尽くすしか
なかった。
11/25/2025, 3:15:11 AM