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よく、能天気だとか…何も考えていないだとか言われがちだけれど
あいつは声色や見た目に反して冷めている方だと思う。
覚めている、と言うよりかは現実的。
無謀な夢を見ることは嫌いだろうし、
自分にメリットがないことはやりたがらない。

感情の変化だって普段は激しくない。
…だけど、今日の彼はそうでも無いみたいだ。


預けられた合鍵を使って家に入ると張り詰めた空気。
リビングはゴミだの服だの飲み物だのでぐしゃぐしゃ。
その中にぽつんと座り込むあいつの肩をゆっくりと抱いた。



「…なにしてんのよ、これお気に入りだったじゃん。」


「こわせっていわれたの、かみさまがいったの。」



あぁ、また、神様かよ。
夢見ないくせに、現実大好きなくせに。
俺が知らないお前だけの神様に頼ってんじゃねぇよ。
かみさまが、と呟き続けるあいつの肩に爪を立てる。


窓の外は嵐だけど…俺の心の方が嵐だっつーの。

7/29/2024, 1:56:19 PM