不安そうにしている僕の様子に気がついたのか彼女は足を止め、話し始めた。
「これから行くところはね、私の秘密の場所なんだ。そこは私にとって大切な場所で守りたい場所でもあるんだ。君にもきっと気に入ってもらえると思う。」
「そっかぁ、でもこんな暗い場所が大切な場所なの?」
そう言うと彼女は吹き出したように笑い出した。それから息を整えてきょとんとしている僕に彼女は言った。
「暗い場所なんかじゃないよー。あのね、もう少し行くと出口が見えてきると思うから、その先が大切な場所なんだ。なーんにも教えてなかったもんね。」
「本当だよー。もういつも何も教えてくれてくれないんだからー。」
そう言うと笑って彼女は言った。
「なら手でも繋ごうか、ちょっと怖いんでしょ?」
不意を突かれ驚いたが恐怖心には勝てず素直に繋ぐことにした。ニヤつきながら話す彼女と繋いだ手の温もりに安心したのか、気持ちが落ち着いていった。
しばらく歩くと遠くのほうに光が見えた。きっと出口だろう。あの光の先に彼女にとって大切な場所がある。どんな場所なのだろう?彼女のことだからきっと素敵な場所に違いない。期待と好奇心を胸に光を目指し歩き続けた。
〜続く〜
「手を繋いで」
3/21/2025, 12:55:43 AM