「……触れるな。」
彼奴は僕の手を振り払ってそう言い払った。
裏路地でいかにも弱い者を虐めているようにしか見えず、つい首を突っ込んでしまった。しかもそれが知り合いだったのたから驚きが隠せず狼狽えた。
「…はぁ?お前がやってること分かってんの?」
「…」
「……だんまりか。」
「……」
これ以上問答をしても意味が無い。僕は通りに足を向けた。
パシッ!!
「なっ……?!」
急に体が傾いたと思ったら暖かい抱擁に包まれた。
「俺に…優しくしないで…」
その時見た彼奴の睫毛は震えていて、僕は胸が苦しかった。
5/2/2024, 3:44:26 PM