XXXX年X月29日
やっと端末が返却された。
没収されたときは戸惑ったものだが、代わりに収集した情報をまとめてくれていたようで有り難いやら申し訳ないやら。ところで私はそんな事を口走っていたのか?きっと銃弾が頭を掠めたショックで気が動転していたんだ。もしくは報告の作成やら化物との遭遇やらで暫く寝不足気味だったからだろう。頼むからそうであってほしい……。
そんなことはさておき、昨日調査団の拠点を離れ我々の拠点へ帰還し、休息がてら調査団の使用していた施設内で収集した情報の共有と次の調査方針について話し合いを行った。
一番重要なのは化物による襲撃に関してだ。今のところはそういった危険に遭遇していないが、警察署で発見した調書の数々を思えば、あの鯨骨の化物が特殊なだけで……あるいは巨大過ぎてこちらに気付いていないだけで、本来あれらはそういう存在なのだろう。
今後の探索では十分周囲を警戒しながら行動したい。
……ただ、調査員達が疑っていた化物を拠点へ招き入れた裏切り者については疑問を感じるところではある。警察の調書や調査団の記録を読んだ限り、いかに人型に近かろうと化物相手に意思疎通が取れるとは到底思えないからだ。
となれば屋内へ侵入するための経路か異能を持ち合わせていたのだろうか。
今後の方針についてだが、後輩が資料集めに専念している間治療室のすぐ傍の部屋で調査団が使用していたと思しき地図を発見し持ち帰ったので、それを照らし合わせつつ行っていない場所を次の調査地にするのはどうかと提案した。
同意こそ得られたものの、ものすごい顔をされたのは言うまでもない。
8/29/2024, 2:06:32 PM