語り部シルヴァ

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『灯火を囲んで』

乾いた肌に熱が差し込む。
静かに火花が弾けて地面に落ちてはゆっくりと消えていく。
花火で暖をとったことが今まであっただろうか。
それもこれも全部後輩が原因だ。

バイト上がりが珍しく一緒の時間になり
寝るまで暇だと話をしていたら花火をしたいと言い出した。
今は秋でもうシーズンは終わったと言っても聞かない。
こうなったら後輩の言うことに従うしか収める方法は無い。

それが今に至る。
ある程度楽しんで最後に線香花火をしている。
さっきまではしゃいでいた後輩も
小さな花火を静かに見つめている。
いつも元気いっぱいに開いている目も優しく少し閉じていて、淡い火花が反射している。

「またしようか。」
そう言うと後輩はいつものように
元気いっぱいに目を開いて絶対ですよと答えた。

語り部シルヴァ

11/7/2025, 11:08:15 AM