紫乙

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夏の夜。
ひんやりした風に当たりながら、車の窓から見る、埠頭の灯が懐かしい。
街の灯りが消えかける頃、埠頭の灯りは美しさを増していた。

私は運転しながら、横目にそれを視界に入れる。
これ、夏の夜だから余計に良いよね!
なんて話しながら。

そういえば、東へ出かけた時は仲良く帰宅していたけど、西へ出かけると、何故か帰りは不穏な空気になっていた気がする。

そう、最後の夜も西から帰った日だった。
西と東では、目に映る灯りのイメージが違っていたからね。
人の心も何かが変わるのかもね。

本音を引き出された西の灯りと、本音を隠された東の灯り。
どちらが悪い訳でもないか。
どちらも良くなかったと言う事か。
そんな事は、もはやどうでも良い。

埠頭の灯りが見せたマジック。
その一瞬は美しくて忘れられない一瞬である事に変わりはないが、もしまた見る事があっても、あの頃とは違う色の新しい色で塗り替えたいと思う。

7/8/2024, 3:20:33 PM