チクタク チクタク チクタク チクタク
ああ、お願いだから止まってくれ!
そう懇願しても、時計の針は無慈悲に進んでいく。
そしてもう少しで、この時間の終わりを告げるのだろう。
このかけがえのない幸せな時間を、たった数本の針で。
時計にキレても無駄なことはわかっている。
わかってるけど、そう思わずにはいられない。
チクタクチクタクチクタクチクタク
どれだけ願おうがキレようが、時計の針はやっぱり俺を嘲笑うかのように淡々と進む。
ああ、もう!なんで止まってくれないんだよ!!
ずっと時計を睨んでいる俺に気づいたのか、隣にいる彼女は面白そうに目を細める。
「そんな不機嫌な顔しないで。お別れする前くらい笑顔でいてよ」
それを聞いて俺は恥ずかしくなる。
そうだな、願っても時間は止まるわけないんだから、こんなことしても無意味だよな。
「ごめん」
「心配しなくてもまた会えるよ」
彼女はそう言って笑顔になる。
そうか。この時間が終わってしまっても、また次の幸せがきっと来る。
時間なんて止めなくてもいい。
二人で新しい思い出をたくさん作ればいいんだ。
そう思った矢先、
「まあ、寂しいことに変わりはないけどね」
そう言って困ったような顔をする彼女。
それを見て、やっぱり時間なんて止まればいいんだ!
なんて思ってしまったことは、彼女には秘密。
2/16/2025, 11:54:44 AM