川柳えむ

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 今夜は流星群らしいことを、朝のニュースで知った。
 天気は良好。観測にはもってこいのようだ。

 わくわくしながら日が暮れるのを待った。学校を終わらせてすぐ帰宅し、ベランダに出て空を見上げる。もうすぐ夜だ。
 あたりが暗くなり、ぽつぽつと星が流れ始めた。
「!」
 一つ目の流星にはとても感動した。空に弧を描き、しかし、次の瞬間には消えている。
 流れ星に願いを……なんて考えていたけれど、そんな余裕はなかった。
 また次の流星を待つ。
 一番活発になるという時間帯に近付くにつれ、少しずつ流星も増えていった。
 姿を現すのは一瞬だけど、急いで願いを呟いた。
 お小遣いが増えますように。テストで良い点取れますように。みんなが元気でいますように。平和でありますように。えぇと、それから……。
 願っても願っても願い足りない。あぁ、もっと大きくて長いのが流れたらなぁ。そしたら、たくさんの願い事をゆっくりちゃんと言えるのに。

 そんなことを考えていたら、一際大きな流星が流れていくのが見えた。何あれ、大きい。めちゃめちゃ大きい。
 これならたくさん願い事を叶えてくれそうだなと思った。


『流れ星に願いを』

4/25/2024, 10:35:46 PM