理想のあなた
キラキラの朝日を見つけ、我慢できずにランニングシューズを履いて家を飛び出した。
2年ぶりのシューズだが、違和感はない。軽くアップをしてから細い道を歩き出す。コンビニ脇を抜け、公民館の広い駐車場へ。ここで改めて準備運動をして、いざ走り出す。
広い歩道の一本道だ。両側には水田がある。風が吹くと、波立つ水面に朝の日差しが乱反射し、ここでもキラキラが溢れ出す。自然と走るスピードも上がってくる。
大きな交差点までたどり着くとUターンして公民館に戻る。それを2回繰り返した。
ラストにしようと、3周目をスタートした。それまでよりも1番速く、力強く腕を振った。昨日までの心の痣を置き去りにするぐらい。
交差点にたどり着く。息を切らしながら振り返る。と、
なんと、
街の数十匹の猫ちゃんが僕の後をつけてきていた。
なんだ君たち、みんな集まって来ちゃったのか。
よし、じゃあ最後の直線、公民館までみんなで競争だ。
僕が右腕を掲げながら言うと、みんなも一斉に、
にゃー、と右手を上げた。
足としっぽを踏まないように慎重に走り出す。無数のにゃー、の鳴き声を伴い、光の中をランニング。
理想の朝。最高の朝。
5/20/2024, 10:14:23 PM