私は天才だ。
いや………天才『だった』。
小学生の頃は勉強なんかしなくたって学校のテストで100点をとれた。塾の模試だって大した対策もしていないのにランキングは上位3位に入っていた。
なのに中学生になった途端。私の周りは他にも天才なんかたくさんいた。秀才もいた。つまり私は井の中の蛙だったのだ。
そこで1度全力で勉強をしてみた。中間テストでは初の全教科100点満点を叩き出した。正直、当たり前だと思った。だって私は天才なのだから。
でも同じクラスの"あの子"は勉強を全くせずに全教科90点以上だった。私よりは褒められていなかったけれど、『全力で勉強して全教科100点満点』と『全く勉強せずに全教科90点以上』だと圧倒的に後者の肩書きの方が欲しい。私はとてつもない劣等感を覚えた。
だから私は3つの条件を自分に課した。
1つ、テストは必ず高得点、もしくは高順位なこと。
2つ、勉強はあまりせずに『天才』であり続けること。
3つ、
2つの条件を達成する為ならば、どんな手段でも使うこと。そして、それを周囲にバレないよう実行すること。
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「どう?これが本当の私。思っているより下衆だし、性格が悪いし、策士なのよ。」
目の前でこちらを睨む"あの子"を横目に私は淡々と話した。"あの子"がいなくなれば私はもっと学校で天才になれる。
皆が私を慕い、敬い、羨む。でもそれは私の才能だからしょうがない。だって私は『天才』なのだから。
───ああ、そうだ。確か、この気持ちは優越感という名前だった。
そう思いながら私は条件を達成する為、"あの子"の胸を突き刺したのであった。
7/14/2024, 6:07:51 AM