草原に寝そべる。
辺りには何も無く、麗らかな風が年中吹く。
今日は、晴天。
ここでは、公爵家の当主でも、王の従兄弟でも、富豪でも無い、
ありのままの自分で居られる。
ここでは、華美に着飾らなくても、厳しい作法を徹底しなくても良い。
ここだけは、自分の好きな格好、自分の好きな姿勢で居られる。
そよ風が私の頬を優しく触れ、草花は私を癒やしてくれる。
いつも通り、私は草原に寝そべり、顔に軽い読み物を乗せる。
ものの数十秒で、顔に乗せた軽い読み物は浮き上がった。
いや、持ち上げられたのだ。
眩しくて、私は目を細める。
「よぉ。」
低い青年の声がした。私は、この声の主を知っていた。
「王よ、何をするのですか。」
「ここでは、王と呼ぶな。休暇くらい、王の冠を取らせろ。」
「分かったよ、ルイ。」
「おっ、やっと俺の名前を呼んだな。それで良い。
従兄弟のおまえくらい、俺の名前を呼んでくれ。」
「で、何しに来たの?」
「ランチ出来たってさ。」
「メインは?」
「チキンのステーキ。」
「了解。じゃあ、食べようかな。」
私は、起き上がる。
「カミーユ、おまえいい加減、偏食治せよ。」
「うるさいなー、治そうと思って治るもんじゃ無いんだよ。」
私は立ち上がり、ルイと一緒に別荘に戻った。
7/24/2024, 2:31:06 PM