静かな夜明け
チュンチュんと小鳥が歌うように鳴く。暗闇の世界に太陽が顔を出し始めた。このまま夜まで過ごせば今日の太陽の光を残さず浴びることができると変な考えが浮かんだ。
犬のぽたちは朝から元気で私は早足で歩かなければならなかった。いい運動になるのでいいのだがこの愛くるしい生物は疲れることを知らない。いつでも元気なのでそれが面倒になることもある。
「おはようございます」
前からランニング中の若者が声をかけてきた。
「おはよう」
元気な若者のはつらつとした笑顔に釣られて私も微笑む。
「今日は天気がいいですね」
真面目にもその場で足踏みしながら若者は言った。
「そうだね。こんな晴天でも寒さは変わらないんだけどね」
「まだまだ寒くなりますよ。ではまた」
そう言うと若者は走り去っていった。年齢も名前も知らないがいつも話しかけてくれる。そんな薄い関係だがあの子に会うことが私の1日の元気の源だった。
ふと見上げると夜の役割を果たしたお月様が白く薄くなっていた。
2/6/2025, 3:02:57 PM