恋人だけを忘れてしまった男の子の話
貴方からの視線はいつだって鋭く、だがどこか優しい眼差しだった
毎日貴方のことを忘れていたけど、その眼差しは私の脳裏に酷く張り付いては消えなかった
その眼差しを向け心理はわからないし
わかろうともしなかった
僕に、それを知る権利はないと思えたからだ
この病院に来たはじめの日
貴方と白衣をきたいなおじいさんが話していたのを盗み聞きしてしまった
申し訳ないと思ったが、バレなければいい
そんな悪い考えを止めず、僕はいつの間にか真剣に二人の様子を見ていた
後に、僕が毎日誰かを忘れているのも
貴方のその鋭いまなざしをする意味もわかってしまった
わかりたくなかった
何故だか、心が辛く、苦しく、痛く感じてしまったんだ
ああ、僕はなんて酷い人間なんだ
そんな考えも、今更すぎる
君のその鋭い視線は
きっと今のこの、弱い僕を
必死に守ろうとしてくれてるんだって
自惚れてしまう自分がいた
ありがとう
僕を見守ってくれて
そして
ごめんなさい。
10/15/2023, 2:01:00 PM