攫われた。とういうより飲まれた。いや消えた。気に入っていた海の水平線は奥にも、横にも果てがなく永遠に続いているようだった。僕の親友が水難事故に遭い亡くなってからも、海は何事もないように無機質にそして飄々と波を打ち、寄せては引いてを繰り返していた。その細かい淡々とした現象に隠れながら月に引っ張られては戻されを繰り返される被害者でもあった。そんな特殊で可哀想な自然を僕はどうしても嫌いにはなれなかった。
4/12/2025, 11:20:27 AM