世界がモノクロにしか見えない私の目。
色が見えるように、私は目の手術をすることにした。
成功率が極めて低く、失敗すると失明する手術。
次に気がついた時には、手術はもう終わっていた。
目を開けると、目の前が真っ暗。
もしかして……失敗したのだろうか?
「安心して。手術は無事成功したよ」
近くから、男の人の優しい声が聞こえた。
手術を担当してくれた先生だそうだ。
成功という言葉を聞いて、ほっとする。
「見せたいものがあるから、ちょっと移動するね」
身体が浮き、何かに座らされる。
車椅子だろうか?
キコ……キコ……と音を鳴らしながら移動している。
「よし、包帯を取っていくから、そのまま動かないように」
目に巻かれているものが取れていき、少しずつ、光が開かれていく。
「わぁ……」
目の前の景色を見て、思わず声が出た。
「さっきまで雨が降ってたけど、すっごく良い天気になってね。まるで君が起きるのを待ってたみたいだ」
先生の優しい声が、心に染みる。
私が初めて見た色の付いた世界は、空に大きく架かった七色の虹だった。
3/26/2025, 1:29:49 PM