亜沙美多郎

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昨晩から降り続いた雨で、田んぼの畦道はぬかるんでいる。

曇天の空。降り続く雨。

喜んでいるのは、自分と、新しい傘を買ってもらった子供くらいなものだろう。

きゃっきゃとハシャぐ子供が通り過ぎると、小さな足跡が池になった。

その前に佇む自分の顔が、泥水に薄らと影を映す。

いつの間にか聞こえなくなった声。
降り頻る雨音だけが響いている。

泥と同じ色の体に染まった自分は、その小さな池にぴょんっと飛び込んだ。

8/27/2023, 3:58:36 PM