友達がくれたはずの飴をリュックの中から探す。
もしかしたらもう溶けているかもしれないけれど、甘いものでなんとか今の気分を誤魔化したかった。
飴を探していたはずだが、出てきたのは母親がくれた細長いキャラメルだった。買ったは良いものの、口に入れたら満足してしまったのだという。残りのキャラメルをばさばさと母親がリュックに入れていたのを思い出した。口の中で想像を裏切らない味が広がる。
僕は心のなかで母親に感謝した。ざわざわとしていた呼吸が、少しずつ落ち着いていくのを感じた。
頬を撫でる風を切って、もう少し歩きたかった。
10/25/2024, 2:48:50 PM