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貴方と出逢うまで僕の世界に色なんてなかった。
ただ何となく毎日を過ごして、退屈でつまらない日々を送っていた。
僕の世界はいつも本の中で、登下校中は本を眺め、友達と帰ることなんてなかった。
貴方が図書室で「この本面白いよね」と急に声をかけてきて、読んでいた本の魅力について熱弁された時は、変わった人だなって思っていたけれど、互いの好きな本の話をするにつれ段々の貴方に惹かれていった。
最初は初めて出来た友達だったため、この心臓の高鳴りを恋だと自覚することは出来なかった。
自覚したあの日はいつものように、放課後2人で本について話していた。外からはボールがバットに当たる音や、楽器の音色、友達とおしゃべりしている音が聞こえてくる。彼女はこの時間が堪らなく好きだと少し照れくさそうに笑いながら言った。
夕日に照らされて笑う彼女がとても愛おしかった。
眩しくてすぐにカーテンを閉め、早く沈めと願っていたあの夕日の光が、ずっと彼女を照らすために沈まないで欲しいと願った時、僕は彼女を好きなんだと自覚した。世界がきらめいて見えた。
貴方のおかげで僕の世界に色が生まれた。あの綺麗な茜色の景色を僕は決して忘れることはないだろう。

今日は僕と彼女の結婚記念日
あの日と変わらない笑顔で 夕日に照らされる彼女を見て、昔を思い出し、少し薄い茜色を背景に写真を撮った。

9/4/2024, 12:41:20 PM