差し出される手を振り払った
何度も何度も、もう覚えていないくらい
強い振りをして、どこかで拾った棘を振り翳した
私には他の誰も必要ない
一人で生きられる
虚飾と妄想の坩堝、自らを蝕む呪いとなって
すっかり固まった土塊の足を抱えている
泣き言を漏らす喉ならこの手で潰した
瞳の奥で茹だる汚濁も
勝手に溢れる膿んだ心も
粉々に割れて消えてしまえばいい
用済みの古い人形、こびりついている黄ばんだ愛着ごと
燃えて、枯れて、乾ききって
何も生まれない不毛の地となって
やっと私は一人で生きられる
助けなんて必要ない、憐れみなんて寄越さないで
この身を滅ぼす責任とやらも、須く私のものだから
支える強さもないのに傘を持ち続けた手は
どうしようもなく震えて
木漏れ日も霧雨も拒絶する
醜い私を覆い隠して、鉄の樹海へ紛れさせる
泣いてなんかいない
笑ってもいない
怒ることにも、期待することにも疲れ果てた
動かせば軋む虚ろな顔を、誰にも見せないように
羽ばたくことが恐ろしい
あるいはきっと、形を無くすほど溶けてしまえば
違う私になれるのだろうか
目覚めを待つ蝉の幻聴に、そっと耳を傾けて
腐った轍に転ぶ明日かな
(傘の中の秘密)
6/2/2025, 10:51:15 AM