「帰ってきてよ。」
ある年の9月1日。珍しく家でベロベロになるまで酒を飲んだ。普段は付き合いでしか飲まないのに、その日は違った。度数の高い酒をとにかくカゴに突っ込んで素早くレジを済ませて、玄関を開けた瞬間から深夜まで飲んで飲んで飲みまくった。
「〇〇ちゃん。」
虚空へと呟いたのは好きだった子の名前。Xを開いて同学年で唯一わたしだけが繋がっていたその子のプロフィールに飛ぶ。お揃いのヘッダーを隠すようにスクロールをして、見つけた最後のポストは8月28日。大量の薬の写真が添付されていて、文末には【ま、いなくなるからいっか。】。1番寄り添える立場だったのに、1番傍にいたのに。気が付けば頬を涙が伝う。
写真フォルダにはその子専用のアルバムを作っていた。その子には彼氏がいたけれど、密かに想いを寄せていたから。ふたりで一緒にテーマパークに行った時の写真、カフェ巡りをしたときのプリクラ。再現したくても二度とできない。
あれから数年、未だお骨は彼女の実家にあるらしい。故にお墓参りにも行けておらず、毎年月命日と命日に窓の外を見つめ空へ祈ることしかできていない。彼女と過ごした尊い日々はとうに過ぎ去っていて、そこへ戻ることは叶わない。
そう、過去は過去でしかない。どれだけ愛しく思い続けても、それがこちらへ微笑むことは、無い。
3/9/2026, 3:25:44 PM