ここは、どこだ……?
目覚めたら、木々がひしめきあう森の中
蝉が鳴く、鳥が鳴く
辺りは、水溜まりが点在して
気が付けば、彩りどりの光が差した
最初は、何の光だ?と思った
純白で透明な、天使が舞い降りるような
幻想的な光が差して
次第に光は広がってった
赤、橙、黄、
緑、青、藍、紫……
7色に分かれていったから
はじめは、オーロラか?と思った
でも、この森は、寒くはない
蝉が鳴くくらい、暖かな気候だ
ならば、この光は何なのだろう……?
手を伸ばすが、掴めない
掠りもしない、触れられないんだ
7色の光は、みるみる内に広がって
目には見えない空気と化した
消えたのか……?
見上げると、大きな大きな虹のアーチが
遥か高く、遠くの方へと、伸びてった
まさか、これって……
そうだ
俺は、何日もかけて
虹のはじまる根源を、見つけようと
遥々、森の奥まで潜り抜けてきた
虹の多発する森として、知られていたから
きっと探し出せるだろう、と
遥々遠くから、駆け付けたのだ
気の遠くなる月日を
俺は、ここで過ごしてきた
雨の日も、晴れの日も
獣たちが吠える夜も
一人で怯えながら、耐え抜いた
来る日も来る日も、腹を空かせて
やっとたどり着いた、虹のはじまり
俺は、そこで意識を失った
◇─◇─◇
気が付くと、そこは、俺の部屋だった
時間を見れば、朝の5時半
おもむろに、カーテンに手を掛ける
開けば、目の前に広がる青空
散々雨が降ってたから
久々の晴れ間に、ホッと一息が漏れる
幸運が呼び込むとは、この事だったのか……
夢だと知りながらも
日本晴れの朝を、清々しく眺めていた
ー虹のはじまりを探してー
7/28/2025, 11:19:59 AM