あなたの空想に浮かぶ美しき町に住みたい。
住人の条件である犬の飼い主になることは、犬嫌いな私には難しいですが、猫を連れてきてあなたのもとへ参りましょう。
片眼の硝子玉が輝かしい白猫の公輔です。この子にも私にも、川のせせらぎときらめきが映る家々の窓の淡い光を見せてください。
水面に星の光が映ったら、窓一面が星空となり、溢れんばかりの星の砂と柔らかな夜に包まれて、正に夢見心地になりましょうよ。
あなたはきっと、私が話の分かるものか訊ねましょう。
星というものを知っているか。
夜の露は?
人間の接吻は?
1890年代の薔薇のあなたの問いに、100年も後に芽吹いて薔薇になりたい私は、正直に全部知りませんと答えた。
ロマンを求めてあなたの町に来ましたと言えば、あんたは大馬鹿者だなとあなたは嬉しそうに笑みをこぼした。
(250115 あなたのもとへ)
1/15/2025, 1:22:03 PM