それは母からの呪いだった。息を引き取る前のただ一言がわたしの人生を狂わすものとなった。あのときの声が、景色が、脳裏にこびりついている。何度も何度も繰り返されている。
かくあれかしという願いに蝕まれ、わたしの人生は義務となった。眠ることすら、食べることすら、友を選ぶことすら。誰が間違っていると言うだろうか。正しいと思うだろうか。きっと答えなどない。誰も教えてはくれない。
視界にちらつく影を追い、耳に残る声を追い、あのときの言葉だけを救いとして。わたしは今日も、死者のために息をした。
「私がいなくなったあとも、どうか幸せに生きてね」
わかってるよ。ねえ、母さん。わたしは幸せになれていますか。
4/1/2023, 8:30:46 AM