『桜散る』
※二次創作 死んだ先輩男のことを思う後輩男
冬の寒さを耐え抜き、つい先週やっと開花したと思った薄ピンクの花は、仕事に忙殺されている間に満開の時期は終わっていた。
春の生暖かい強い風に吹かれてあっという間に散っていく。
ピンク色の絨毯を敷き詰めた道路の上を歩いていると、いやでも思い出してしまう。
この花が舞い散る夕暮れ、あいつと出会ったあの日のことを。
肌身離さず持ち歩いている銀色の一枚のコインは、新聞一つ買えないほどの貨幣価値しかないが、俺にとっては何にも変え難いあいつとの想い出の品だ。
あいつは何も残さず逝ってしまった。
このコインだけが、唯一の形見の品になってしまった。
桜のように綺麗に咲いて、あっという間に散ってしまった。もっと一緒にいたかった。もっとたくさんのことを教えて欲しかった。その気持ちは捨てきれないけど、あいつは短くても、その人生を生き抜いたんだ。
それにあいつが俺に残したものは目に見えるものだけじゃない。
だから俺も、あいつに恥じないよう生きなくちゃいけないんだ。
どんなに苦しくても寂しくてもつらくても。
4/17/2026, 5:27:25 PM