キュウリ猫の国の猫たちは普通猫より進化して皆が賢く特別な能力を持っていた。キュウリ猫たちは、普通の猫をバカにし、眉間のシワは日々深まるばかり。退屈な毎日を送っていた。
ある時、ひとりのキュウリ猫のチトは
「こんなに進化しているはずなのに、なぜ僕らは不幸なんだろう。もしかしたら、普通猫の国には、本当の楽しみが隠れているのかもしれない。僕は普通猫の国に行ってみたい」
と考えた。
これを聞いた他のキュウリ猫たちは、チトをバカにして笑ったが、チトの心はもう決まっていた。
彼は普通猫の国へと旅立つことにした。
チトが普通猫の国に行ってみると、自由に遊び回る猫たちがたくさんいた。
猫たちは、日向ぼっこをし、風を感じながら、悠々と自分の時間を楽しんでいた。
チトは普通猫たちに羨望の目を向けたが、チトのキュウリ猫の印によって、普通猫とは友達になれなかった。
悩んでいると、一匹のドラ猫がチトに近づいてきて
「君の眉間のシワを伸ばすことができるならその壁を崩せることが出来るよ」
と言った。
それを聞いて、チトは眉間のシワを伸ばしポワンとした気持ちになると、ほんの少しだけ退化し、笑顔になった。チトは普通猫になった。
今チトはのんびりとお昼寝をしながら、ドラ猫から学んだことを時折思い出している。猫たちの本当の楽しみをね。
「さあ行こう」
6/7/2025, 12:11:52 AM