黒山 治郎

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夢というのは何時かの何処かで見た景色を
浅い思考の中で無意識に繋ぎ合わせて再生し
本人の記憶の棚を整理している状態なのだと
哲学を担当していた教授から教わった事がある。

ならば、悪夢の中で強引に矯正される感覚や
夢に現れる忘れたい言葉や、捨てたい傷が
傷痕を掻き毟る様に蒸し返されるのも
無意識だとしても自業自得という訳だ。

鮮明に夢を見てしまう事だってそうだ
昔からの逃げ癖、現実逃避という悪癖の産物で
少しでも現実から目を背けたくて忘れたくて
綺麗な夢を紙に書き出していたら
ぼやけていた筈の夢の境界線や輪郭、感覚が
徐々にハッキリとしていって…
それらは悪夢であっても変わらなかっただけだ。

そうだった、そうだよ
今までも“元凶”と指を刺されてきたんだ
どこまでいっても悪いのは私で、いつも話は終わる
忘れてはいけない、逃げる意味もない
償うべき事は其れこそ山ほどあるのだから。

                ー 逃れられない ー

5/23/2024, 11:11:23 PM