【赤い糸】
ねぇ、キミは運命の赤い糸って知ってる?
うん、そうそう。
恋愛小説や漫画、ドラマや映画なんかで良く見るやつね。
自分の左手の小指には一本の長い赤い糸が結ばれてて、
いつか結ばれたもの同士が互いに巡り会って惹かれ合うだなんて随分とロマンチックな話だよね。
キミもそう思うでしょう?
ん?どうしたの?そんなに怯えて泣きそうな顔をして。
キミの左手の小指に結んだ赤い糸が痛かったかな?
ごめんね、キミが逃げ出そうとするから
もう二度と外に出れないようにキツく結び過ぎちゃった。
もう、逃げないから糸を解いて?
それはだーめ。
糸を解いたらキミはまた、
アイツの所に行こうとするでしょう?
キミを信用していない訳じゃないけど、心配なんだ。
アイツの言葉に傷ついて泣いているキミを見るのも、
アイツの傍で無理に笑おうとしているキミを見るのも、
もう限界。
僕とキミは運命の赤い糸で結ばれているんだから、
僕以外のヤツの事なんてどうでもいいでしょう?
僕だけを見て、僕だけを愛して?
そうすればキミは傷つかないし、もう泣かなくて済むよ。
傷つくのも痛い思いをするのも嫌でしょう?
僕がキミを守るから
もうアイツの事は早く忘れようね?
あれ?どうして泣いているの?
今日、色々な事があったから疲れちゃった?
泣き止まない彼女をギュッと、
抱きしめながらベッドに横になり、
彼女が泣き疲れて眠るまで優しく頭を撫で続けた。
◆◆◆
ーー僕とキミは運命の赤い糸で結ばれていなかったけど、運命って作り出すものだと僕は思うんだよね。
だから僕とキミを繋ぐ赤い糸が二度と解けないように
ずっと傍で甘やかしてあげる。
もっと僕に依存して、二度と逃げ出さないようにーー。
6/30/2024, 5:34:29 PM