何だかいつもより静かな家の中で、私は部屋の隅で縮こまっていた。嫌な記憶が頭にこびりついて、何も出来ないでいた。
試しに外へ出てみる。肌がピリピリと痛むほど冷たい風が、優しく私の頬を撫ぜる。
風も、私を歓迎していないらしくて、泣きそうになる。
でも私は泣かない。泣いてしまったら、もっと自分が情けなく思えてきてもっと泣きたくなってしまう。
ため息を吐いてみる。白くなって消えていく。あぁ幸せが、逃げてしまった。
結局、惨めな気持ちになる。虚しさが体中に染み渡る。
私は気分転換に、近くにある公園まで、ゆっくりと歩み始めた。
こんな時間なのに、通り過ぎる家はほとんど電気がついている。そうだ、今年がもう終わるのだ。みんな、今年が終わって来年が新しく始まるのを、待っているんだ。
優しい気持ちと、寂しい気持ちが押し寄せて、また泣きそうになる。最近妙に、涙もろくなった。昨日だって、泣いたばかりだった。
公園に着く。誰もいない。ベンチに座ってみる。冷たい。私は堪えきれなくなってとうとう、涙を流してしまった。
口から、白い息が漏れ出て消えていく。
泣いたら、幸せは逃げてしまうのだろうか。
息を殺して泣いてみる。息苦しい。幸せが、喉元でつっかかって、心臓が痛くなる。
深呼吸をした。幸せは逃げていくけれど、心は落ち着いた気がした。
普通の幸せになるには、まだ時間がかかるみたい。
ただそれでもいいと、自分に許せる日がきっと、来年やってくると信じて私は生きていく。
そうだ。どうせ、生きるんだ。
死ぬ勇気なんて無いもの。
空を見上げる。生憎の曇り空だった。でも明日は晴れるらしい。
来年こそきっと、良い年に。
みなさん、良いお年を。
12/31/2025, 1:57:00 PM