一森くま

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冬あたりに髪を伸ばしては、
夏にドライヤーで乾かすのが辛くなって
ばっさりとショートにカットすることが
ルーティンになっていること。

…さっきお風呂から出て
ヘアミルクを毛先につけていたら気づいてしまった。


私の知っている
ロングヘアの似合う素敵な人は
足の爪先から頭のてっぺんまで
手入れが行き届いていて
余裕があって
しとやかな雰囲気が出ると同時に
その人の周りが無重力に感じられるほど
明るくて、快活だ。
踊るように生きているように見えて
ロングヘアが最初から彼女に備わっているみたいに
自然体なのだ。


比べるわけではない。
比べるわけではないけれど

汗だくになって乾かし終えたあとの
必死な自分の表情を目の当たりにすると、たまらず
毎年夏の終わりには馴染みの美容室の予約を入れている。


「また、切りたくなっちゃって」

「今年の夏は特に暑いからねぇ」


何年も同じ会話を繰り返しているような気がして
美容師に対して、気恥ずかしさとありがたさが同居する。


温かいお湯が頭にかけられて
たまにしか嗅げないサロン用のシャンプーの香りが店内に充満していく。


…さて、どんな髪型にしてもらおうかな。

私はまた今年の秋に向かって進んでゆく。





9/7/2024, 3:39:10 PM