袋野ねずみ

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もしも世界が終わるなら



もしも世界が終わるなら。

その日その時、おれはいったい何をするだろう。

最後に何を食べて、どこに行って、どんな言葉を残して、どんな思いで何を。

最初に頭に浮かんでしまったことはあるけど、よくあるフィクションじゃあるまいし。
世界最後の日に告白をなんてことはできない。

きっと最後だとわかっていてもそんな勇気出せないのがおれなんだろうな。

いや、もし言えたとしても返ってくるのは優しいあいつの困った申し訳なさそうな笑顔だろうから。

そんなことを、何度考えただろう。

万に一つも可能性のない想い。

それだけ不毛なものなんだから捨ててしまえばいい、と。

そんなことを正当化して救われたいが為に何度。


こんなことを、友達の話だとか誤魔化して伝えてみた。であいつは大笑いした。

そして勝率0%なんて夢も希望もないもの、傷つくくらいなら捨てた方がいいと、そういった。

でも結局、きっと、
おれは最後の日に諦めてしまう。

もしも世界が終わるなら。

そう考えた時、ネットニュースなんかを見ながらあいつといつものように、馬鹿みたいに笑ってるおれが何よりも鮮明に浮かんだから。

きっとおれは捨てることを諦めてしまう。


「もしも世界が終わるなら?」

「それでも、その友達は捨てれないと思うよ。」

「ふーん」


きっと、いや絶対に、
おれはこれを捨てられないから。


もしも世界が終わっても。










9/18/2025, 10:24:01 AM