たろ

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『時計の針』


壁掛けの時計が、カチコチと時を刻んでいる。
独りぼっちの夜には良く響くその音に、早く眠れと急かされている様に感じて、時計の針を睨みつけた。
(少しは寝ないと。)
目を瞑っても、耳は運針の音を拾う。
羊を数えようにも、規則正しいその音に沿って数えてしまうので、目が冴えるだけだ。
(寝よう。)
ごそごそと布団を頭まですっぽり被った。
布団の中まで、追い駆けてくるその音は、まだ少し小さく鳴っていた。

2/6/2024, 7:42:44 PM