【空を見上げて心に浮かんだこと】
「ねえ今、空をとべたらいいのにって思った?」
髪をふたつに結んだ女の子が、顔を覗き込んで尋ねる。膝上までまくったジーパンからは、小麦色の細い脚がのびていた。
空色の服は水で濡れている。近所の小川で水遊びをしてきたらしい。
「あたしもさ、いつか自由に飛び回ってみたいんだぁ」
そう言って女の子は天を仰ぐ。
1面の青とそれを映えさせる真っ白な入道雲。
手をかざして日差しをさえぎって、ずらして目を細めて、またさえぎる。
「でもね、あたしにもあなたにも無理なんだって。母さん言ってた。」
ゆっくりと手を下ろして、顔を見て…。
突然女の子は思い出したように小屋の中に走っていく。
しばらくして出てきた少女は大事そうに卵を抱えて家に帰っていった。
7/16/2024, 11:25:48 AM