"一輪の花"雪に埋もれて、鮮やかな赤がちらりと見えた。椿の花だ。一輪だけ、落ちずに残っていたらしい。そうっと手を伸ばして触れてみようとした。だが、次の瞬間。ポトリと、首が落ちるように赤い花が地面に転がった。花びらが散ることはなく、花ごと落下するのが椿という花だ。昔の人はその姿から打ち首を連想したらしい。不吉さは感じないが、確かにそう思うのも頷ける。木々の緑よりも、空の青よりも。椿の赤は、白い雪に恐ろしく映えるんだ。
2/24/2025, 2:26:25 PM