むらたま

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十代の後半、私は透明人間みたいだった。
正確には半透明人間。
見える人にしか見えない、希薄な存在。
人を害さない代わりに役にも立たない、夢もない。

それでも少しづつ色がついてきて、両の手足が働く様になれたのは文字を書き始めてから。
ノートにペンで書いた先から、少しづつ少しづつ。
文字を吸収するかのように。

今ではほんのり色づいたけれど、未だに少しふわふわしている、と言われてしまう。

5/21/2024, 10:05:43 AM