体臭がフェロモンだというのは
確かアパレル雑誌で読んだのだったか
最良の子孫を残す為に
自分の遺伝子から程良く遠い遺伝子を
嗅ぎ分けるんだとか
あぁ、道理で。 …道理で?
優しくて甘やかな匂いがすると
初めて会った日から思っていた
柔軟剤やシャンプーとは違う
肌から香る彼本来の匂い
焦ったり困ったりするとさらに強く匂い立つ
可哀想なくらいに
彼は代謝が良すぎるから
とにかく汗をかく
少しの運動で汗の玉が浮いて
走れば滴り落ちる綺麗な雫
彼はいつもそれを欠点として扱った
「ねぇ、俺臭い?」
臭くないよ。
「本当〜?」
本当。
"最良の子孫を残す為に"
「今度香水とか買ってみようかなー」
制汗スプレーで十分!
"自分の遺伝子から程良く遠い遺伝子を"
「ねっアイス食べて帰ろ。
遠回りになっちゃうけどさ」
遠かろうが近かろうが…
「何?」
なんでもない。
この匂いに誘われているのは俺だけでいい
◼️香水
8/31/2024, 9:38:28 AM