惰眠

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明日、もし晴れたら
 
 夏が泣いていた。夏なのに、秋の雨のように冷たい涙を流していた。

 プールに入りたがった子供は、悲しさに顔を歪ませている。あの女子高生は、げんなりとした様子でうねった髪を気にしているし、あの男性はおろしたての靴が汚れたようで苛立っている。

 僕は、やっぱり今日も頭が痛かった。

 いつも明るい夏が泣いていた。普段はうんざりするほど暑苦しい奴なのに、こんな姿を見てしまうと心が痛くなるじゃないか。それに毎年こうなんだ。

 だけど、明日、もし晴れたら。

 きっとみんなの心にも陽が差すだろう。すると、太陽にも負けないくらい眩しい笑顔であふれるんだ。

 あの子供が元気に泳いでほしい。あの女子高生は、そのさらさらとした髪を風でなびかせて、あの男の人は、洗ってピカピカになった靴で、元気よく歩いている。そんな姿を見たい。

 僕はアイスにかぶりつくだろう。つい食べすぎてしまうから、結局のところ頭痛薬は手放せないだろうけど。

 そうして、僕たちを明るく照らしてほしいんだ――明日こそはね。
 まだ夏は始まったばかりなんだから。

8/1/2023, 5:05:10 PM