10月。
暑すぎず寒すぎない過ごしやすい季節になった。
ベランダの戸を網戸にして開けてやれば天然の心地よい風が部屋に入ってくるのでエアコンや扇風機は必要ない。とても快適だ。
(でも来月になったら冷え込むんだろうなぁ……。あっという間に紅葉が見頃になって一瞬で終わって、そしたら極寒の冬到来って感じだ。秋はどこにいったんだ秋は!)
などと狭いアパートの一室で考えながらシャツ一枚とパンツ一丁の姿で中国産の安価で怪しいタブレットを使ってこの文章を書いていたら、どでかいクシャミが出た。
「ハックシュ!!」
どうでもいいことだがクシャミには人の個性が出ると思う。俺の場合は『ハックシュ!』だ。イントネーションは『拍手ッ!』に近い。今日は一回だけだったけど、だいたい二連続で出る。
まぁ、そんなことは置いといて……
本日のテーマ『遠い足音』
ベランダの戸を網戸にして開けていると外から足音が聞こえてくる。カンカンカンやコツコツコツといった階段を上がる音だ。
俺の住んでいるアパートは駅に近い。というか、アパートの正面に駅がある。そして駅へ行くには階段をあがらないといけない。なので朝昼晩と絶え間なく階段を上り下りする人々の足音が聞こえてくる。
その足音を聞いていると結構おもしろい。
たとえば出勤ラッシュの朝なんかは『カンカンカンカンカン!!』と階段を急ぎ足で上がって駅に向かっていると思われる会社員らしき人の足音がする。
昼は昼で『カン……カン……カン……』みたいな、階段に備え付けられた手すりをもってゆっくりゆっくり階段を上がっているお爺さんかお婆さんの足音がしたり、夕方は夕方で賑やかな話し声と共に『カッカッカ!』って感じの学校が終わって帰路についている途中の学生たちが奏でる小気味よいリズムの足音が聞こえてくる。
夜の0時前なんか、もっと面白い。
『ドン、ドン、ドン!!!』って誰を威圧しているつもりなのか知らないが、階段を踏み抜く勢いの足音が響いている。
「んああああんっ!!」といった感じの奇声とセットで。そう、終電で帰ってきた酔っ払いである。
おそらく誰にも見られていないと思っているから「ふざけんな!」や「やっちまうぞ!んあらあ!」と一人でグダを巻いているのだろうが、俺の耳には不必要に大きな足音と共にその声もバッチリと届いている。なんなら部屋のカーテンを少しめくって(こんな深夜になにやってんだ、おっさん……)って感じで様子を覗っている。あの酔っ払いにこの文が届く確率は限りなくゼロに近いと思うが、もし見ていたら自重してほしい。
と、まぁ、このように遠い足音は面白い。
前述した俺のクシャミと同じように、足音にも人の感情や個性がでるのだ。
皆もぜひ耳を澄まして聞いてみてほしい。
ちなみに俺が一番好きな『遠い足音』は男性の若者に多い二段飛ばしで階段を駆け上がっていく『トットット!』って感じの軽やかなリズムのやつだ。
10/3/2025, 8:23:09 AM