灰田

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君と最後にあった日は、ぼくが君を捨て去った日。
もう二度と会わないと誓った日。
だってもう、どうしようもない。

あの人に最後にあった日は、寒い寒い真冬。
手袋の手の握手を、生涯忘れない。

母と最後にあった日は、秋の最中の暗い朝だ。
もう届かないと知っていても語りかけ続けている。
もう届かない?…誰が決めたんだよ。届いているさ。
だって、もう届かないなんて、かえってありえなさ過ぎる。

最後を積み重ねて手を伸ばしぼくは、それぞれの愛おしさをぎゅっと抱きしめる。

あなたを無駄になんかしない。
ぜんぶ受け入れて、変わり続けるから。

6/26/2024, 11:49:15 AM