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『怖がり』
「暗闇は怖い。」
だって、何かがいても気づけないし、先が見えないし……他には何があるのだろう。理由がすぐに底をつきてしまった。

「暗闇は怖い。」
それは本能だ。怖くない人なんて、生物なんて居ない。夜行性の動物は、夜行性足り得るための装備がある。暗闇をも見れる目だとか、幼少期からの慣れや、遺伝子そのものとか。
でも、人間はそんな道具を最初から持ち合わせていない。
生身では防御力は低く、攻撃力もない。闇を不自由なく見渡すことはできないし、そんなこと遺伝子に組み込まれていない。
だから、火やろうそく、灯籠、提灯、ランプ、電球、懐中電灯、あとはそう、暗視ゴーグルとか。そういった道具を使って闇を克服しようとしてきた。
その甲斐があって、人間は夜も活動ができるようになった。

でも、だからこそ、闇への耐性は昔より弱くなった。
人間は、決して暗闇が怖くなくなってなどいない。
「暗闇は怖い」は、遺伝子に組み込まれている、人間の、生きるための装備のままなのだ。

筆者 宵鐘飾

3/16/2026, 2:14:13 PM