お題「cute!」
通学路の途中にある一軒家の前を通るのが私の楽しみだった。
取り立てて立派でも、面白い形をした家ではないが、道路に面した窓が広かった。その窓からほとんど毎日見えるのが。
「シロちゃぁんー!!」
私の隣にいたミカコが呆れた顔をした。しかし構わず私はキャットタワーに座る真っ白な猫に向かって手を振る。
「あの子シロって言うの?」
「さあ。私が勝手に呼んでるだけ」
「おまえ……」
「シロちゃんが今日も見れた。生きててよかった」
「大げさすぎ」
シロちゃんはとってもきれいでかわいい白猫で、瞳が左右違うところもたまらなくキュートだ。
私は力いっぱい手を降って、後ろ髪引かれつつも、学校に向かった。
あんずの毎朝の日課は塔の上から、外を監視することである。きなこが恨めしそうに見上げているが、無視した。文句があるなら己の力を示せばいい。あんずはこの家で一番強く偉い。ゆえに塔の上を独占するのである。
今日も毛があまりない愚鈍で大きいだけの猫たちが前を過ぎ去っていく。それを眺めるのがあんずの楽しみであった。
中でもやたら威勢のいいのが一匹いる。自分に対して心酔しているのが見て取れる。同じ家にいる毛の少ない大きな猫たちほどではないが。
大きな猫が飛び跳ねんばかりに、けれどのろのろと手を振るのは愛らしい。
あんずは目を細めて今日も、毛のない大きな猫を眺めた。
2/27/2025, 10:46:50 PM