今日もお母さんは帰ってこなかった。お湯を沸かして、1人でカップラーメンを啜る。
「今年の学校は今日で終わりです。皆さん良いお年を」
「明日クリスマスだよ!サンタさんにプレゼント頼んだ?」
「頼んだー!貰えるかなぁ」
「私はね…」
今日はクリスマスだ。僕はいつものようにプレゼントを頼んで、いつものように落胆した。僕にはプレゼントが届かなかった。玄関の扉を開ける。一応外も確認して、やはり届いていないことを認識する。
リン
ふと足を止めた。不自然な音を聞いた気がして、辺りを見回す。しかし、誰もいない。
リンリン
繰り返されるその音は、次第に強く大きくなっていく。
リンリンリン
僕はその音がベルの音であると気づいた。しかし、目視できる場所にそんな物はない。
その音は不吉なほどに大きく連続的に鳴り響いた。
リンリンリンリン
僕は願った。これはサンタさんが僕を迎えに来てくれたに違いない。お母さんも帰らない、プレゼントも貰えない僕を不憫に思ったサンタさんが、きっと僕を迎えに来てくれたのだ。
リンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリンリン
僕は目を閉じた。
1220 ベルの音
12/21/2024, 3:29:26 AM