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世界に一つだけ

私は、皆と違う自分の容姿が嫌いだった。

寝癖だらけでうねる赤い髪
手足も細くて華奢で枝木の様
肌も浅黒く汚れているのに瞳の色だけは、
髪の毛と同じで真っ赤だった。

周りの人からは化け物と言われていた。
私もその通りだと思っていたから
別段反論しなかった。

でも 君だけは、私の髪や瞳を綺麗だと
言って褒めた。
最初は、その言葉が信じられなかった。
適当な事を言って私の機嫌を伺っている
だけだろうと....

けど君は、真っ直ぐ私の瞳を見て
「君は、世界に一つだけの大切な宝物を
持っているんだね!」
私は、瞳を瞬かせて 君の言葉をもう一度
頭の中で、反芻するけれど君の言葉の意味が分からなかった。

君は、可笑しそうに私を見て
「ほら!」と私の前に手鏡を差し出した。
そうして君が手鏡を近づけて私の顔が
鏡に大きく映しだされると
私は、今まで気付かなかった事実に気付き
目を大きく見開いた。

私の瞳の中に小さく星が映っていた。
瞳の色と相まってまるで赤く火花が
燃えているようだった。

赤い髪もそれに映えて浅黒い肌もその赤い
星を引き立たせる様に闇夜を写していた。
私は、その事実に気付き思わず君の顔を
見上げた。
君は、ほら 言った通りでしょうとでも
言う様に私ににっこりと笑顔を向けていた
私は、嬉しくなって気づけば君と一緒に
笑い合っていた。
二人一緒に明るい笑い声を周りに響かせていた。

9/10/2024, 12:46:51 AM