九至 さら

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『力を込めて』

周りの生徒が帰っていくのをぼんやりと見つめる。
委員会で居残りの憂鬱を吹き飛ばすため、風を浴びようと窓を開けた。

見慣れた後ろ姿が目に入り、私は力を込めて叫んだ。
君はこっちを見て目を見開いたあと、真っ赤になって俯いた。君のことはどこにいても簡単に見つけられる。
数秒後、君は私の方を見上げ「知ってる!」と笑った。
君にしては珍しい大きな声に、感化されたのか校舎の3階からもう一度叫ぶ。
「愛してるーー!!!」
ある日の放課後の出来事。

10/7/2024, 12:25:36 PM