いぐあな

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300字小説

正義

 魔王を倒したはずの魔王城に魔族や魔物が集まっていると聞いて、勇者の私は仲間と共に、かの地へと向かった。
「これは……」
 そこで見たのは長い長い葬列であった。グレートデーモンからスライムまで、花を持ち粛々と魔王を弔う。その光景はとても言葉にはできない、静かで悲しみにあふれるものだった。
「……正義の反対はもう1つの正義か……」

「……その光景を見た勇者は人と魔族の境界線の地を治め、その生涯を掛けて二つの種族が互いに共存出来るよう尽力しました」
 今は境界も無くなり、人と魔族が共に学ぶ学舎で先生が教科書を読み上げる。
「勇者は後にこう語ってます。『我ら人が悪の権化と呼んでいた魔王もまた民を思う王であった』と」

お題「言葉にできない」

4/11/2024, 12:26:17 PM