空蝉

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帰り道、微笑ましい中学生の会話が聞こえてきた。


「なぁ、お前の好きな色ってなに?」

「んー?どうしたのさ急に。合コン始まった?」

「いやなんか唐突に気になってしまって。」

「ふーん。
逆になんだと思う?僕の好きな色。」

「茶色とか?小学校の時のランドセル茶色だったし。」

「おー正解、」

「なんで正解したのに腑に落ちてないんだよ。」

「合ってるんだけどね、
これにはちゃんとしたわけがあるんですよ。」

「へぇー?理由あるんだ。
お前直感で好きになるタイプだと思ってた。」

「いや普段はそうだけど、
これだけはちゃんとわけがあるわけ。」

「ここにきてだじゃれか?ちょっと寒くなってきたわ。
で、その理由はなんだよ。教えろよ。」

「いやそれは言えないですわ。」

「はぁー?なんだよそれ。
そんな大それた理由があるのか?」

「いやー別にー?
じゃあ俺こっちだから。また明日な。」

「ちょっと気になってきたんだけど。
明日理由聞くからな。じゃあな。」

と、まぁこんな感じ。好きな色の話をしてたみたいだ。
途中で気になって2人の様子を横目で見ていたが、
何となく分かった。茶色が好きな彼の理由が。
あまりに、もう1人の子の瞳を見つめてたもんだから。
きっと、彼の真っ直ぐな茶色い瞳が好きなんだろう。

 
『 好きな色 』



6/21/2024, 3:33:26 PM